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コラム記事

【医師監修】痙縮のリハビリはどうする?自宅で実践できるストレッチも紹介

脳卒中(脳梗塞・脳出血など)

2022.03.09

脳卒中で痙縮(けいしゅく)になると、筋肉の過剰な緊張による手足のつっぱりで、身体を思うように動かせなくなります。

脳卒中の後遺症は、リハビリテーションの妨げになるため、痙縮を和らげることが重要です。

本記事では痙縮のメカニズムやリハビリテーション、治療法を紹介します。痙縮を和らげる方法について詳しく知りたい方は、参考にしてください。

痙縮が起きるのはなぜ?

ここでは、「痙縮とはなにか?」について説明した後に、メカニズムについてお伝えします。

痙縮とは

痙縮とは脳卒中の後遺症の1つで、意志とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手足がつっぱった状態です。

たとえば、手足の指が曲がったままで開きにくくなったり、肘が曲がって伸ばせなくなったりもします。

 痙縮のメカニズム

痙縮のメカニズムは、筋肉の緊張と緩みを無意識下で支配する脳と脊髄のアンバランスが関係します。

筋肉の緊張と緩みは、脳や脊髄を通して、さまざまな経路で調整されています。脳が障害を負うと、その経路に不具合が起きるのです。

たとえば脳卒中の場合は、延髄の錐体と呼ばれる場所を通る錐体路で不具合が発生。錐体路に生じた不具合により、脳が筋肉を制御できなくなります。

一方で、筋肉を緊張させる脊髄からの作用は過剰になってしまうため、筋肉の緊張が強くなり痙縮が起こります。 

施設で行う痙縮のリハビリテーション治療

痙縮のリハビリテーション治療は急性期と回復期、維持・生活期で異なり、費用もかかります。病院における通常のリハビリテーション費用は1日あたり12,000円~18,000円です。

高齢者であれば、保険の適用により1割負担でリハビリテーションを受けるため、1日当たり1,200円~1,800円の費用がかかります。

もし90日間のリハビリテーションを受けたとすると、約10万円~16万円のリハビリ費用が発生。

その上に、入院費や薬代などもかかるため、痙縮後の生活には大きな経済的な負担を強いられます。そこで高額医療制度などを利用すると、もっと安くすることも可能です。

脳梗塞後のリハビリでかかる費用相場は?自費リハビリや入院費、介護費についても解説

 急性期

拘縮(こうしゅく)を防ぐためにも、急性期でも早めのリハビリテーション開始が大切です。

まずは、座位や立位で姿勢を保つ訓練から開始します。

姿勢を保つ訓練を行う場合は、スタッフの手を借りたり、ギャッチベッドを利用したりします。

ギャッチベッドとは、頭やお尻、膝の角度を調整できる介護用ベッドです。また病院のスタッフが、患者の指や足首など体の関節を動かして、拘縮を和らげるリハビリテーションも行われます。

回復期

回復期にはリハビリテーション施設で、歩行や着替え、食事など日常生活に必要な動作を訓練します。

手すりを使って歩行訓練をしたり、麻痺のない側の手で服を着るように練習したりします。

歩行訓練には、長下肢装具を利用することも。長下肢装具とは、立った状態の安定や免荷、矯正などを目的に麻痺側の足に装着される装具です。

太ももから、足底までを覆う作りになっている点が特徴です。装具を着用して繰り返し訓練をすると、麻痺した筋肉の活動が回復する可能性があります。

 維持・生活期

退院後は、自宅でもリハビリテーションを続けます。自宅のてのリハビリテーションは、病院のリハビリテーションで回復した機能を維持するために行われます。

リハビリテーションは脳卒中の患者が、能力に応じた自立生活を送れるようになることが目的です。

クリニックやリハビリテーション施設を利用しながら、徐々に日常生活に必要な行動をできるようにします。

自宅でできる痙縮向けストレッチ

関節ごとにストレッチの方法はさまざまです。ここでは、体勢ごとにストレッチの一部を紹介します。

 寝た状態で行うストレッチ

寝た状態で行うストレッチは次のとおりです。

  1. 仰向けの状態でお腹の前で両手を組みます。
  2. 肘を伸ばしながら、両手をゆっくと持ち上げます。
  3. 頭の上まで持ち上げたら、ゆっくりと下ろしてください。
  4. 次に両手を組んだまま胸の前に置きます。
  5. 天井に突き上げるように両手を伸ばしてください。
  6. 肘を流したら、ゆっくりと下ろしてください。

1~6を繰り返してみてください。

座った状態で行うストレッチ

座った状態では、次のとおりにストレッチをしてみてください。

  1. 座った状態で両手を組んでまっすぐ伸ばしてください。
  2. 前かがみになり、腕をゆっくりと床まで下ろします。
  3. 前かがみの状態から体をゆっくりと起こし、両手を頭の上に伸ばします。
  4. 腕を伸ばし切ったら、腕を下ろして胸の前に置いてください。
  5. 胸の前に置いた両手を組んだ状態で、斜め下前方に伸ばします。

1~5を繰り返してみてください。

立った状態で行うストレッチ

立った状態でストレッチを行う場合は次の手順で行ってください。

  1. 流し台やテーブルにつかまって立ってください
  2. 麻痺のあるほうの足を後ろへと引いてください。
  3. 後ろに引いた足に体重をのせます。
  4. 後方に引いた足に体重をのせながら、ふくらはぎを伸ばしてください。

背筋を伸ばして、膝を曲げないようにする点がポイントです。

 脳卒中の種類|痙縮を伴う代表的な病気

脳卒中は脳の血管の異常で起こる病気の総称です。ここでは脳卒中の種類について解説します。

 脳出血(脳溢血)

脳出血は脳溢血(のういっけつ)とも呼ばれます。脳動脈が破れて、流出した血液が脳細胞に害を及ぼしている状態です。

高血圧や動脈硬化で血管がダメージを受けると、脳の深部にある細い血管が破けて、脳出血にいたります。

脳機能に障害が現れるため、言語障害や感覚障害、運動障害などに見舞われます。

 クモ膜下出血

クモ膜下出血も、脳動脈が破れて発症します。

しかし脳出血とは異なり、脳の表面を走る大きな脳動脈が破れて、そこから出血します。

血管の一部が瘤(コブ)のように膨れる「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」ができ、それが破裂して出血するのです。

またクモ膜下出血と呼ばれる理由は、脳の表面を覆う「くも膜」と呼ばれる薄い膜の下で出血するから。脳卒中の中でも死亡率の高い病気です。

脳梗塞

脳梗塞はなんらかの原因で、血管が詰まり、正常に脳全体へ血液が行きわたらずに発症します。

脳梗塞は血管が詰まる原因により、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症に分類されます。

各タイプの病態は次のとおりです。

  • ラクナ梗塞:脳の微細な血管に血栓ができて詰まった状態
  • アテローム血栓性脳梗塞:脳に続く太い血管の根元に血液中のコレステロールがたまって狭くなった状態
  • 心原生脳塞栓症:心臓病が原因で心臓から作られた血液の塊が流れてきて、血管を詰まった状態

 脳卒中の後遺症や治るまでの期間について

脳卒中になると拘縮以外の症状も現れます。ここでは、脳卒中の後遺症と治るまでの期間について説明します。

脳卒中の後遺症

脳卒中を発症すると、損傷を受けた脳の部位によってさまざまな後遺症が残ります。

たとえば、麻痺による寝たきりや失語症、認知症、視野障害など他にもさまざまな後遺症が現れるのです。

後遺症を防ぐためには、早期の発見と治療が大切。発症後のリハビリテーションは、可能な限り自立して日常生活を行えるようになることが目標です。

【医師監修】脳卒中の後遺症とは|言語障害と痙攣、めまいなどの症状はある?確率は?

 脳卒中の後遺症が治るまでの期間

職場への復帰を希望する場合、リハビリテーションを行えば、約30%の人が3ヶ月~6ヶ月で復職を果たしています。

1年から1年6ヶ月で職場復帰を果たす人は、40~50%くらいです。

1年6ヶ月間リハビリテーションを継続すると約半数の人が職場に復帰しています。脳卒中の後遺症を回復させるためには、リハビリテーションの継続が大切です。

脳卒中の後遺症や痙縮の治療法

脳卒中の後遺症の痙縮の治療法は次のとおりです。

  •  ボツリヌス療法
  •  ITB療法

各治療法について詳しく説明します。

 ボツリヌス療法

ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンと呼ばれるたんぱく質を筋肉内に注射する治療法です。

ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させる神経の働きを抑える効果があります。注射後の3~7日後に効果が現れ、3~4ヶ月間効果が持続。

効果の持続中にリハビリテーションを行うことで、痙縮が緩和される可能性があります。1回の注射ごとに3か月の期間を空ける必要がありますが、回数制限はありません。

 ITB療法

ITB療法は重度の痙縮患者を対象とした治療法です。

腹部に埋め込んだポンプとカテーテルを通して、バクロフェンと呼ばれる薬を常に脊髄近くに投与します。

バクロフェンには筋肉を緊張させる神経の働きを抑える効果があります。

ITB療法は、3ヶ月に1度のバクロフェン補充と、5~7年に1度のポンプ交換が必要です。

【医師監修】ITB療法とは?痙縮による手足のつっぱりを緩和する治療法を解説!

 脳卒中後のリハビリには痙縮の治療もおすすめ

瀬田院長-スマートクリニック東京

痙縮を放っておくと拘縮になる可能性があるため、脳卒中後の早い段階でリハビリテーションを開始する必要があります。

痙縮のリハビリテーションには、急性期と回復期、維持・生活期の3段階に分かれており、急性期と回復期は主に病院でリハビリを行います。

維持・生活期は自宅でリハビリテーションをしたり、クリニックや専用施設でリハビリを受けたりします。

痙縮を和らげる一環として、サイトカイン療法の利用もおすすめです。

サイトカインは、脳の神経細胞に直接アプローチして脳の機能を取り戻す治療法です。

サイトカイン治療に興味がある方は、スマートクリニック東京にご相談ください。

当クリニックの脳梗塞・脳出血後遺症治療について

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記事監修

スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。

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