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コラム記事

【論文紹介】中等度虚血性脳卒中患者に対するビタミンD3の単独大量投与における効果の検討(Stroke Res Treatより)

論文紹介

2022.10.05

今回はオープンアクセス出版社の「Hindawi」に掲載された論文をご紹介します。

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中等度虚血性脳卒中患者に対するビタミンD3の単独大量投与における効果の検討

The Evaluation of the Neuroprotective Effect of a Single High- Dose Vitamin D3 in Patients with Moderate Ischemic Stroke

 

【目的】

ビタミンD不足は虚血性脳卒中患者において高頻度に認められ、生存率の負の予測因子であると言われている。中等度の虚血性脳卒中患者においてビタミンD3の大量投与がNSEレベル、NIHSS、BIスコアリングシステムに及ぼす効果を評価した。

【方法】

この研究は前向き二重盲検化無作為(RCT)試験である。2020年4月〜2021年3月までビタミンD欠乏症(血清25-OHビタミンDが30ng/mL以下)を有する中等度虚血性脳卒中患者(NIHSS 5-15点)を介入群と対照軍に無作為に割り付けた。介入群の標準治療に加えて60万IUのビタミンD3の単回筋肉内注射を行った。NSEとNIHSSは介入前と介入後48時間に評価された。BIは退院後3ヶ月間モニターした。

【結果】

570人の患者が対象となり、最終的に41 人の患者が研究を完遂した。患者特性に関しては年齢が対照群で高かったこと(p =0.04)以外は両群間で統計的な有意差はなかった。48時間後、NIHSSスコアは介入群で有意に低かったが(p = 0.008)、NSEレベルには有意差はなかった(p = 0.80)。退院3ヵ月後、BIは介入群で有意に高かった(p = 0.03)。

【結論】

ビタミンD3 60万 IUの単回投与は、中等度虚血性脳卒中患者において機能的な結果(NIHSSおよびBI)においては神経保護効果を発揮しうるが、神経損傷に関連するバイオマーカー(NSE)においては有意差は見られなかった。

 

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【コメント】

コロナ後遺症|治療|スマートクリニック東京いくつかの観察研究では、ビタミンD欠乏症の患者ではNIHSSに基づく脳卒中の重症度が悪化し、脳卒中後の機能的転帰が悪くなることが示されています。こちらの正確な機序は完全には解明されていませんが、今回の結果からも虚血性脳卒中に合併したビタミンD欠乏症の患者さんにはビタミンD投与により筋力の向上、転倒の減少、骨折リスクが減少することでその後のQOL改善が期待できそうですね。

 

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記事監修

スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。

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