再生医療の定義
再生医療の定義は、再生医療学会と厚生労働省で少し定義が違います。
再生医療学会では、「機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞や人工的な材料を積極的に利用して、損なわれた機能の再生をはかるものです。」(※1)との定義に対し、厚生労働省は「再生医療等技術を用いて行われる医療という。再生医療等技術とは細胞加工物を用いるもの」(再生医療等の安全性の確保等に関する法律から一部抜粋)(※2)と定義づけされています。
上記のような難しい定義はありますが、簡単にいうと「ダメになった部分を細胞を用いて治す」ということになります。
基本的な治療の仕組み
私たちの体は日常生活の中で損傷することがあります。
例えば以下のような状況や症状が挙げられます。
・転んで擦りむいた。
・おなかを壊した。
・熱がでた。
このような症状、状況下では病院に行かないまま、自然に治っていくこと人が多いのではないでしょうか。
しかし、症状が改善せず、自分の力だけでは治すことが難しいと感じた場合は、病院を受診し、抗生剤をもらったり、膿をだしたり、解熱剤を処方してもらい、次第に回復していきます。
このように、基本的に治療というのは、ばい菌などの悪い症状の原因を取り除き、最終的には自らの自己治癒力で治っていくことが基本的な治療の仕組みです。
治療が困難となるケース
病気によっては、悪い症状原因がすべて取り除けない、自らの力で治せないものもあります。
例えば、心不全や腎不全があります。
※コントロールができなくなり、臓器そのものが動かなくなってしまう状態を○○不全といいます。
心臓や腎臓の病気の治療には、たくさんの薬の使用や手術により現状の心臓や腎臓の機能を保護することや、少しでも改善させることはできます。ただし、その治療の負荷に次第に耐えることができない状態になり、手術も受けられなくなってしまうことも多く、そういった場合、治療継続が困難になり、最終手段としては臓器移植になるのです。
臓器を移植すれば、基本的には元通りの生活ができるので、大変素晴らしい治療ですが、課題点もいくつかある治療法です。
「深刻なドナー不足という社会的問題」
また、日本の文化や法律の影響もありますが、日本では臓器移植はかなり少なく、人口100万人あたりの臓器提供者数は日本では0.61人です。
アメリカの1/46、韓国の1/15に過ぎないです。※3
ただ、臓器提供者が増えれば解決するのかといえば、そうではありません。
「拒絶反応、免疫抑制の医学的問題」
他人から臓器をいただくため、拒絶反応が起こるリスクがあり大量の免疫抑制剤を使用が必要なこと、そもそも手術適応にならない場合もあります。
ドナー不足、適応の問題に直面した研究者は、本人の細胞から臓器を作り、移植することで解決できるのはないかという考えに至りました。
これは再生医療の最終的な目標だと思います。そのために世界中の研究者が、今も日々研鑽を積んでいます。
トカゲの尻尾、プラナリアの再生の仕組みということは解明されています。
今後は人の再生もできるのか、腕が生えるのか。
SFや漫画の世界ではよくある話が今後できるようになってくるのか。
もちろん漫画のような世界を実現するには、まだまだできません。
ただ再生医療の分野では、
iPS細胞やES細胞、幹細胞治療、上清液治療などを用いて、細胞を用いて今できることで少しでも解明・治療していこうとしています。
現時点で再生医療とは、細胞の力を使用して、今まで治療困難であった疾患の治療を目指す治療だと考えています。
※1 https://saiseiiryo.jp/about/
※2 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000085_20190314_430AC0000000098
※3 https://www.jotnw.or.jp/explanation/07/06/臓器移植ネットワーク
スマートクリニック東京では、
乳歯幹細胞培養上清液を使用したサイトカイン治療で、ALS、脳梗塞後遺症、アルツハイマー型認知症、脊髄損傷、AGA、コロナ後遺症、アトピー性皮膚炎などに新たな選択肢をご提案します。
記事監修
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東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。
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