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【論文紹介】脳梗塞患者における血栓回収単独治療vs血栓回収+t-PA治療の比較試験(Lancetより)|スマートクリニック東京【公式】|再生医学(サイトカイン治療・乳歯幹細胞培養上清液) 東京 市ヶ谷/四谷/麹町

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コラム記事

【論文紹介】脳梗塞患者における血栓回収単独治療vs血栓回収+t-PA治療の比較試験(Lancetより)

論文紹介

2022.11.02

今回は英医学誌の「Lancet」に掲載された論文をご紹介します。

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脳梗塞患者における血栓回収単独治療vs血栓回収+t-PA治療の比較試験
Thrombectomy alone versus intravenous alteplase plus thrombectomy in patients with stroke: an open-label, blinded-outcome, randomised non-inferiority trial. 

Lancet (London, England). 2022 07 09;400(10346);104-115.
DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00537-2

【背景】

血栓除去術がアルテプラーゼ静注+血栓除去術と同等の効果があるかどうかは、はっきりしておらず、急性期虚血性脳卒中患者において、血栓溶解療法単独がアルテプラーゼ静注+血栓溶解療法に劣らないかどうかを明らかにすることを目的とした。

【方法】

ヨーロッパとカナダで行われたこの多施設共同前向き無作為化非盲検評価者盲検試験において、CTまたはMRAで確認された大血管閉塞による脳卒中で、血管内治療施設に入院した患者を対象とした。患者は、血栓除去術単独群とアルテプラーゼ静注+血栓除去術群にランダムに割り付けられた(1:1)。
両群とも、血栓除去術は市販のソリティアステントレトリーバー再灌流装置(Medtronic, Irvine, CA, USA)を用いて可能な限り迅速に開始された。併用療法群では、無作為化後できるだけ早期にアルテプラーゼ(0.9 mg/kg,最大投与量90 mg)を60分間静脈内投与し、初回ボーラスとして計算量の10%を投与した。
有効性の主要評価項目は、90日後の修正Rankinスケール(mRS)スコアが2点以下(機能的自立)の患者の割合で、評価者盲検とした。無作為に割り付けられた同意の得られたすべての患者において,Mantel-Haenszel リスク差の片側 95%信頼下限を使用して,血栓溶解療法単独とアルテプラーゼ静注+血栓溶解療法の非劣性を評価し,非劣性マージンを 12% と事前に指定した.安全性の主要評価項目は、無作為に割り付けられた同意済みの参加者全員を対象に評価した症候性頭蓋内出血とした。

【結果】 

2017年11月29日から2021年5月7日の間に、5215人の患者がスクリーニングされ、423人がランダムに割り当てられ、そのうち408人(血栓溶解療法単独、アルテプラーゼ静注+血栓溶解療法207人)が主要効果分析に含まれた。
90日後のmodified Rankin scaleスコアが0~2だったのは、血栓溶解療法単独群201例中114例(57%)、アルテプラーゼ静注+血栓溶解療法群207例中135例(65%)で、補正後群間リスク差は-7.3%(95%CI:-16.6~2.1%)、片側95%CI下限値は-15.1%で事前規定のマージン-12%を超えており、単独群の併用群に対する非劣性は示されなかった。
症候性頭蓋内出血は,血栓除去術単独を受けた 201 例中 5 例(2%)、アルテプラーゼ静注+血栓除去術を受けた 202 例中 7 例(3%)で発生した(群間リスク差:-1.0%、95%CI:-4.8~2.7)
再灌流成功率は血栓除去術単独群では低かった((91%[182/201例]vs.96%[199/207例]、群間リスク差:-5.1%[95%CI:-10.2~0.0]、p=0.047)。

【結論】

血栓除去術単独はアルテプラーゼ静注+血栓除去術に対して非劣性であり、再灌流率が低下することが示された。
これらの結果は、適格な患者において血栓除去術の前にアルテプラーゼ静注を省略することを支持しない。

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【コメント】

医師解説|論文紹介|スマートクリニック東京

脳梗塞の治療として、詰まった血管の血栓を溶かす(rt-PA、アルテプラーゼ静注)治療と、血栓をカテーテルを用いて直接回収する血栓回収治療があります。
以前は発症から3時間以内であれば
アルテプラーゼ、8時間以内は血栓回収と言われておりましたが、近年では血栓回収治療がファーストであり、その中でtPA治療も併用するという治療法がスタンダードとなっております。また、血管内治療は条件を満たせば発症から24 時間以内まで適応が拡大されております。

しかし、血栓回収治療は一刻を争うため、血管内治療専門医(多くは脳神経外科医師)が常にいる病院で、且つ、アンギオ室が常に空いているところでないと難しいです。
病院前で脳梗塞が疑われる場合はそういった脳卒中センターに搬送することが望ましいですが、血栓回収治療の適応拡大の反面、血管内治療のできる脳神経外科医が足りておらず、また、都会に集中したりしていて施設間、地域間格差が出ているのが現状です。

スマートクリニック東京では、脳梗塞・脳出血の後遺症治療を行っております。
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記事監修

スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。

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