認知症患者の周辺症状を抑えるために、漢方薬が処方されることがあります。漢方薬のメリットは、胃や腎臓、肝臓などの内臓に優しいことです。
本記事では認知症治療に使われる代表的な漢方薬である「抑肝散(よくかんさん)」と、その他4つの漢方について解説します。
認知症の症状を抑えるために、漢方薬の利用を検討している場合は、参考にしてください。
認知症に効果のある抑肝散(よくかんさん)とは
ここでは漢方薬の中でもとくに効果のあると言われる抑肝散(よくかんさん)について、詳しく解説します。
イライラを抑える漢方薬
漢方を扱う東洋医学においては、「肝」の機能が高じると、イライラしやすくなると言われています。抑肝散は、高ぶった肝の機能を抑え、イライラを鎮める働きがあるのです。
以前は、子どもの夜泣きなどに使われていましたが、現在では大人の神経症状に対して処方されることもあります。抑肝散は認知症に対しても、たびたび処方される漢方薬です。
レビー小体型認知症の周辺症状に有効
認知症の中でも、レビー小体型認知症の周辺症状に有効であることが分かっています。周辺症状とは、認知症により引き起こされる精神症状や行動障害のことです。レビー小体型認知症の周辺症状には、不眠や徘徊、食行動異常、幻覚、妄想、暴言、暴力などが挙げられます。
一方で次に解説する中核症状には、効果がないと考えられます。
中核症状は改善できない
中核症状とは、記憶障害や言語障害、認知機能障害などの認知症が直接の原因となる症状のことです。
抑肝散は中核症状までは改善できないため、行動や心理症状といった周辺症状を改善する目的でのみ処方されます。
また、認知症の進行をそのものを止める効果もないため、有効な範囲が限定されることを理解しておきましょう。
その他の認知症に効果のある漢方薬
抑肝散以外にも、複数の認知症に効果のある漢方薬が存在します。ここでは、4つの漢方薬をご紹介しますので、参考にしてください。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんびはんげ)
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんびはんげ)とは、抑肝散に陳皮(ちんぴ)と半夏(はんげ)と呼ばれる生薬を加えた漢方薬です。陳皮と半夏が加わることで、消化器に優しい漢方薬になるため、消化器の弱い高齢者にはおすすめの漢方薬です。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、軽度認知機能障害や認知症の初期段階における食欲不振や体重減少に対して効果を発揮します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、不眠や中途覚醒などの睡眠障害のある認知症患者に処方されます。また、消化吸収の促進にも有効であるため、食欲が優れない場合にも服用できます。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、認知症患者のイライラ感や焦燥感が強く、抑肝散や抑肝散加陳皮半夏で効果が無い場合に処方されます。
抑肝散や抑肝散加陳皮半夏との併用で用いられることもあります。
認知症にはヒト乳歯歯髄幹細胞培養上清液もおすすめ
認知症にはヒト乳歯歯髄幹細胞培養上清液(以降、上清液)を使った治療もおすすめです。
上清液中にはサイトカインと言われる生理活性物質が豊富に含まれています。
サイトカインを体内に取り込むことで、幹細胞の働きを活性化させる効果が期待できます。幹細胞とは、脳内の神経細胞の回復を促す細胞のことです。
通常の再生医療の場合は、幹細胞を体内に入れるために注射や手術が適用されます。
一方で上清液であれば、点鼻投与でサイトカインを体内に取り込み、幹細胞を活性化できるため、自宅でも継続して治療を行えるのが魅力です。
2回目からはオンライン診療も可能であるため、認知症の方を病院まで連れていく手間も省けます。
当クリニックでは、アルツハイマー型認知症にサイトカイン治療を行っています。
アルツハイマー型認知症発症後、また予備軍の方々の症状改善治療はスマートクリニック東京にご相談ください。
記事監修
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東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。
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