『認知症患者800万人時代』という番組が2013年にNHKにて放送され、その当時は衝撃を受けたことを覚えています。
厚生労働省の資料によると2030年に認知症患者の数が800万人を超えるという推計もあります。次第に『認知症患者800万人時代』が現実味を帯びているのではないでしょうか。(注1)
認知症患者が生活するためには、家族をはじめとした介護者のサポートが不可欠です。しかし、認知症患者による暴言や暴力が、介護者のとって大きな負担となります。
認知症患者の暴力や暴言を抑える認知症の薬や向精神薬は、介護者の負担を軽減させる側面があると言っても過言ではありません。
本記事では、認知症患者の暴力を抑えるための薬剤の種類や効果について解説しますので、参考にしてください。
介護で問題になる認知症患者による暴言や暴力とは
認知症患者は、次のような原因から介護者に殴りかかったり、暴言を吐いたりすることがあります。
- 不安により、混乱しているから
- 周囲からの扱いにより、自尊心を傷付けられたから
- 感情をコントロールできないから
- 体調が悪く不快なことを伝えられないもどかしさから
認知症患者が暴力や暴言に至る理由を理解できたとしても、介護者にとっては大きな負担となるのが現実です。
そこで、認知症患者の家族をはじめとした介護者は、医師や医療機関に相談することで、認知症患者の暴力や暴言を抑えるための適切な向精神薬や認知症の薬を処方してもらえます。
処方してもらった薬剤は医師の指導のもと、適切に服用することが大切。症状が収まったからと言って、処方された薬の用法・容量を安易に変更したり、服用を止めたりすると、再び暴力や暴言が悪化する恐れがあるため注意が必要です。
認知症患者の周辺症状(BPSD)も深刻
周辺症状には「暴言、暴力」以外にも、「物取られ妄想」や「失禁や不適切な場所での排便」、「幻覚、幻聴」などがあり、認知症患者を介護者する家族にとっては深刻な問題です。
周辺症状が悪化することで、これまでの家族間の人間関係が崩れてしまうのは悲しいことですし、暴力によるケガなども起こり得ます。
そこで、認知症患者の周辺症状を抑える場合にも、認知症薬や向精神薬が処方されることがあります。次に、認知症患者の暴力を抑える薬について詳しく見ていきましょう。
認知症の暴力を抑える薬
認知症の暴力を抑える薬には、メマリーと呼ばれる認知症の薬や向精神薬があります。
メマリー
メマリーは認知症による周辺症状を抑えるのに、とても効果のある薬だとされています。その一方で、認知症初期の患者への効果は薄いと言われています。
そのため、初期のころはドノペジルと言われる別の認知症治療薬が処方されます。その後、中等度以降まで症状が進行した際に、ドノペジルと併用する形で、メマリーの処方を開始されるのが一般的です。
向精神薬
認知症患者に使われる向精神薬の種類には次のようなものがあります。
- 睡眠薬:睡眠をサポートする薬
- 抗てんかん薬:気分を安定させる薬
- 抗精神病薬:幻覚や妄想などの症状を抑える薬
- 抗不安薬:イライラ感や不安感を和らげる薬
- 抗うつ薬:元気がない、やる気が起きないなどのうつ状態を改善する薬
認知症患者は暴言・暴力の他にも、抑うつや意欲低下などの症状が現れることもあるため、さまざまな向精神薬が処方されます。
認知症薬は介護者の助けにもなる
認知症薬は認知症患者の介護をする家族の負担を軽減させる目的で、処方される側面もあります。
介護者の負担や認知症患者自身の生活の質を高めるためにも、今後も認知症薬の効果には期待したいところです。
スマートクリニック東京でも、サイトカイン療法を通して、認知症患者と介護をする家族の生活の質を向上させるサポートをしたいと考えています。
再生医療の技術を応用したサイトカイン療法が効果を発揮するのは、アルツハイマー型認知症による症状です。
アルツハイマー型認知症発症後、また予備軍の方々の症状改善治療はスマートクリニック東京にご相談ください。
(参考)
記事監修
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東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。
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