Column
”幹細胞の力”
トカゲのしっぽは
なぜ生えるのか?

「トカゲのしっぽ切り」という言葉があるように、トカゲは敵から逃げる時や、危険を感じた時に、自分のしっぽを切って逃げる事が出来ます。そして切断した箇所からしっぽが再生します。再び生えて、元通りのしっぽになることが出来ます。これは、トカゲのしっぽには、非常に多くの幹細胞が含まれているため、幹細胞が一斉に集結し、失ったしっぽの部分を正しく再生し始めるためです。
人間もトカゲと同じくらいの 再生能力があれば、手や脚を事故などで切断されても、元通りになるのかもしれません。 しかし、人間の幹細胞には、それほどの量もなく、 再生能力は備わっていません。ただ、皮膚の切り傷が治ったり、骨折した骨がつながったり、部分的に切除された肝臓が再生したりするなど、人間にもそれなりの再生する能力が備わっています。つまり、再生する重要な要素は、幹細胞という事になります。この幹細胞は、加齢とともに幹細胞数が減少していく事がわかっています。新生児に幹細胞は多く、高い再生能力があります。赤ちゃんは骨折しても、皮膚に傷を負っても、すぐに治ります。これは、体内に幹細胞が多数存在していて、傷が出来ると、皮膚に分化する細胞をどんどん作り出して供給する事が出来るからなのです。