コロナ感染1年後も倦怠感が続く『ブレインフォグ』
新型コロナウイルス感染症の後遺症の一つに、ブレインフォグ(脳の霧)と呼ばれる症状があります。これまでにコロナ後遺症としてよく聞かれていたのは、嗅覚障害や倦怠感、抜け毛などでしたが、ブレインフォグは、これらに加えて最近クローズアップされるようになった新たな症状です。
認知機能障害の一種とされていますが、年齢や性別に関係なく発症します。まるで脳に霧や靄(もや)がかかったかのようにぼんやりとして、集中力の低下や疲労・倦怠感、記憶障害などを招きます。
- 見聞きしたものが頭に入ってこない
- 自分の考えや発言がまとまらない
- 頭が回らず作業に集中できない
- すぐに疲れてぐったりしてしまう
- 常にのぼせている感じがする
これらはいずれもブレインフォグに悩む人たちの声です。
MRIなどの精密検査を受けても異常が見られないにもかかわらず、半年以上経っても症状が改善せず、なかには仕事を休職するほどの重い症状に苦しんでいる人もいます。
厚労省の発表によると、退院時に後遺症が見られた人の半年後調査で、3割以上の人に疲労感や倦怠感などの症状が続いていたということです。この中にはブレインフォグの症状に苦しむ人も多く含まれているのではないかと推測しています。
なぜブレインフォグが起こるのか?
詳しいことはまだ分かっていませんが、新型コロナウイルス感染によって脳がダメージを受けた可能性が指摘されています。ウイルスが脳に到達するわけではないものの、全身の炎症による免疫反応が脳にまで伝わり、脳でも炎症が起きているのではないか。それにより、脳細胞がアルツハイマー型認知症に似た変化、具体的には、思考を司り物事を整理して実行する働きを持つ前頭葉の機能が低下するのではないか。このような可能性が考えられており、世界各国で研究が進められていますが、治療法はまだ確立されていません。
ブレインフォグの発症を抑えるには?発症後の対処法は?
そもそも新型コロナウイルスに感染しないことが最重要ではありますが、ワクチン接種も後遺症対策として有効のようです。2回接種した人では後遺症リスクが49%減少し、後遺症発症後でもワクチン接種で57%が改善したというデータも報道されています。
最近ではコロナ後遺症外来を開設する病院やクリニックも増えています。当クリニックでは、新型コロナウイルス感染症の後遺症患者様向けに、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞培養上清液を使用した「サイトカイン療法」を行っております。
ブレインフォグが疑われる症状の場合、幹細胞培養上清液の経鼻投与(点鼻療法)により、脳神経を活性化させ、修復・再生の効果が期待できます。
ブレインフォグの症状でお悩みのかたはぜひ一度ご相談ください。
スマートクリニック東京 院長 瀬田 康弘
記事監修

-
東京慈恵会医科大学卒。
慶應義塾大学での勤務を経て、株式会社ZAIKEN設立。
臨床、訪問診療、企業活動など様々な分野に従事。
2020年よりスマートクリニック東京院長。